「世界一幸福な国」として知られるブータン。
その国民の心の支えとなっているのが チベット仏教 です。
ブータンではチベット仏教が国教とされ、人々の暮らしや文化、さらには国家政策にまで深く影響を与えています。
この記事では、ブータンにおけるチベット仏教の歴史と特徴、文化的役割、現代社会への影響をわかりやすく解説します。
ブータンとチベット仏教の関係
ブータンは地理的にも文化的にもチベットと密接なつながりを持っています。
- 宗派
ブータンの国教はチベット仏教の一派である「ドゥク派(カギュ派の一分派)」です。
17世紀にシャブドゥン・ガワン・ナムゲルが布教し、ブータン統一の基盤を築きました。 - 宗教と政治の融合
ブータンの伝統的統治制度は「政教一致」。宗教指導者と世俗指導者が国を治める仕組みで、チベット仏教が国家の根幹を支えています。
カギュ派については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ブータンの仏教文化
ブータンでは、チベット仏教の教えが日常の中に自然と息づいています。
- 僧院と僧侶
各地に僧院(ゾン)があり、地域の精神的な中心として機能しています。 - 祈りの道具
マニ車、タルチョ(祈祷旗)、ガウなど、チベット仏教に由来する祈りの文化が生活の一部です。 - 祭礼(ツェチュ祭)
僧侶たちによる仮面舞踏(チャム)が行われ、悪を祓い、国と民の繁栄を祈ります。
ブータン社会におけるチベット仏教の役割
1. 国民の幸福の源
ブータンでは GNH(国民総幸福量) を国家指標としています。
この概念の背景には、チベット仏教の「慈悲」「調和」「無常の理解」があります。
2. 教育と倫理
僧院では子どもたちに読み書きや倫理教育が行われ、仏教的価値観が世代を超えて受け継がれています。
3. 環境保護
「自然も生きとし生けるもの」と考える仏教の思想は、ブータンの環境政策にも反映され、国土の7割以上が森林として守られています。
チベット仏教とブータン観光
ブータンを訪れる旅行者にとっても、チベット仏教は大きな魅力です。
- タクツァン僧院(虎の巣寺)
絶壁に建つ壮大な僧院で、チベット仏教の聖地のひとつ。 - 仮面舞踏(チャム)
五体投地や舞踏を通じた祈りを間近で体験できる。 - 日常に根付く祈り
村や山道にマニ車やタルチョがあり、生活そのものが信仰と結びついています。
日本との比較
日本仏教が「寺院中心」の文化を築いたのに対し、ブータンでは「社会全体が仏教的価値観で統合されている」という点が特徴です。
特に「政治」「教育」「環境」まで仏教が根本にある点は、世界でも珍しいあり方です。
よくある質問(FAQ)
Q. ブータンはなぜ幸福度が高いのですか?
チベット仏教の価値観に基づいた「心の豊かさ」を大切にする政策(GNH)が影響しています。
Q. ブータンの仏教はチベットと同じですか?
基本はチベット仏教(カギュ派系)ですが、ブータン独自の伝統や祭礼が加わり、独自の発展を遂げています。
Q. ブータンに行けばチベット仏教を体験できますか?
はい。僧院訪問、祈りの道具、祭礼など、生活の中に自然に息づくチベット仏教を体験できます。
TIBET INORIとブータンの智慧
TIBET INORIは、ブータンの暮らしに息づくチベット仏教の智慧を尊重しています。
- 日常に祈りを取り入れる習慣
- 幸福を「心の在り方」として捉える視点
- 自然や社会と調和する生き方
ブータンの人々が体現する「祈りとともに生きる暮らし」は、TIBET INORIが目指す世界観そのものです。
