チベット仏教において、巡礼(じゅんれい) は信仰を深め、功徳を積む大切な修行です。
人々は聖地を訪れ、五体投地やマントラを唱えながら歩むことで、心を浄化し、仏や菩薩とのつながりを深めていきます。
この記事では、チベット仏教における巡礼の意味や方法、代表的な聖地、そして現代の巡礼文化について解説します。
目次
巡礼の意味とは?
仏教における巡礼は、聖地を訪れることで信仰を実践し、功徳を積む行為です。
- 心身の浄化
巡礼を通じて煩悩を手放し、悟りに近づくとされます。 - 功徳の積み重ね
巡礼は「善行」として評価され、来世や解脱に影響すると信じられています。 - 信仰共同体の一体感
巡礼の旅は多くの信徒と共に歩むことで、祈りを共有する時間にもなります。
チベット仏教の巡礼の特徴
チベット仏教の巡礼には、他の仏教文化にはない独特の実践があります。
- 五体投地
聖地までの道のりを、五体投地を繰り返しながら進む修行者もいます。 - コルラ(聖地を回る行為)
聖地や寺院を時計回りに巡る習慣で、功徳を得るとされます。 - マントラの唱和
「オーム・マニ・ペメ・フム」を唱えながら歩くことで、心を仏に集中させます。
代表的な巡礼地
1. カイラス山(カイラス・コルラ)
- チベット仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、ボン教にとっての聖山。
- 山の周囲約52kmを巡礼する「コルラ」は最高の功徳を積むとされます。
- 一周するだけで人生の悪業を浄化できると信じられています。
2. ラサとジョカン寺
- チベット仏教の心臓部とも呼ばれるラサのジョカン寺。
- 巡礼者は寺の周囲をコルラし、五体投地を繰り返します。
3. タル寺・ラルンガル仏学院
- 青海省や四川省の僧院も、現代の巡礼地として多くの人々が訪れます。
4. ネパール・ボダナート
- チベット仏教徒にとって海外最大の聖地。亡命チベット人や世界中の巡礼者が訪れます。
チベット仏教とネパールについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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巡礼の方法
チベット仏教の巡礼は、次のような実践を含みます。
- 聖地に向けて歩く
徒歩で進むこと自体が修行。 - マントラを唱える
心を集中しながら祈りを続ける。 - 五体投地
巡礼の途中で身体を投げ出し、謙虚に祈る。 - コルラを行う
聖地や寺院を時計回りに回る。
巡礼の現代的な意味
現代では、巡礼は単なる宗教行為にとどまらず「心を整える旅」として注目されています。
- 精神的リセット
日常から離れ、自然と一体化する時間を得られる。 - 観光と修行の融合
聖地巡りは旅行者にとっても魅力的な文化体験となっています。 - 国際的広がり
ネパールやインドの僧院では外国人巡礼者も増加しています。
日本仏教との比較
日本仏教にも四国八十八ヶ所巡礼や西国三十三所巡礼がありますが、チベット仏教の巡礼はより肉体的・精神的に過酷です。
- 日本:寺院を巡ることで祈願・功徳を得る
- チベット:五体投地や聖地一周など、身体全体を使った修行が特徴
よくある質問(FAQ)
Q. 巡礼は誰でもできますか?
はい。体力に応じて短いコースから始められます。五体投地は必須ではありません。
Q. 巡礼にはどれくらいの期間がかかりますか?
カイラス山一周は数日、長距離の五体投地巡礼は数ヶ月から数年を要します。
Q. 観光客も参加できますか?
はい。ラサやボダナートなどでは観光客も巡礼路を歩くことができます。
TIBET INORIと巡礼の精神
TIBET INORIは、巡礼が象徴する「祈りと旅」を大切にしています。
- 身体を通じた祈り
- 聖地をめぐることで得られる浄化と功徳
- 人と人が祈りを共有する文化
巡礼は「歩く祈り」であり、人生そのものを清める旅です。
その精神を日常に取り入れることが、TIBET INORIの願いです。
